Skip to content
部品洗浄有限公司 部品洗浄有限公司
TV KeyHoleTV

KeyHoleTVの思い出

鍵穴の思い出を振り返りたい平成一桁おじさんのおもひでメモ

ぱ

ぱーくり

1 min read

ワンセグも繋がらない震災の夜と、地方のアニメ難民。KeyHoleTVが満たしてくれた「情報」と「熱狂」

KeyHoleTVをご存じだろうか?

今ではPCだけでなくスマホを開けば、TVerで地上波の見逃し配信がHD画質で楽しめ、
AbemaTVやNHKプラス、Netflixでは地上波と同様のコンテンツがライブストリーミングされている。
また、ひとたび災害が発生すると民放各局はYoutube上で自社の速報をライブ配信しだす。

KeyHoleTVをご存じない人には、これらの配信はあたかもつい最近生まれたものだと感じるかもしれない。
しかし、2000年代後半には"鍵穴"と呼ばれていたKeyHoleTVによって関東キー局のライブ配信はすでに実現されていたのである。

この記事では、KeyHoleTVの簡単な紹介とともに、管理人が経験した思い出を振り返り、
KeyHoleTVが物語るテレビのインターネット配信における時代の移り変わりについて語っていきたい。

KeyHoleTVとは

P2P技術を活用した動画・音声配信システムである。
開発を手掛けたのは認知科学者の苫米地英人氏らで、本来は総務省の「次世代P2P型ネットワーク技術」の実証実験事業の一環として開発されたらしい。

その技術的な詳細や、総務省とのかかわりなどについてはここでは詳しく解説しないが、
2010年代初頭において徐々に普及していたUstreamやニコニコ生放送などの生配信サービスとの違いは以下のとおりである。

  • 低帯域で動作する: 携帯電話の3G回線のような低速の回線でも動作するような設計(≒画質)であった。これは受信側だけでなく配信側も同様で貧弱な回線でも地上波映像をアップロードできた。
  • 低遅延で配信できる: P2P技術をベースとしているためか、配信のタイムラグが非常に短かった。具体的にはラジオの時報も実時間よりそれほど遅れない。
  • キー局、関東独立U局(tvkなど)、一部地方局の配信があった: 黒に近い話と思われるが、NHKや民放キー局だけでなく当時はtvkやテレ玉、場合によっては京阪を中心とした地方局の配信があった (当然非公式)

ワンセグや超A&G程度の画質のため、大画面に映して視聴できるような代物ではなかったものの、
当時のスマートフォン(Windows Mobileなど)やネット回線速度、そして競合たるサービスの配信画質を考えると、
KeyHoleTVは画質もまずまずで遅延が少ないという当時としては十分すぎる性能であった。

KeyHoleTVは、WindowsなどのPC環境だけでなくスマートフォンでも視聴できた。 当時ウィルコムなどから微妙に(?)発売されていたWindows CE / Windows Mobile向けアプリも開発されており、
これら黎明期のスマートフォンには搭載されていないことが多かったワンセグ機能を補完することができた。

したがって、現在のTVerですら達成できていない全時間帯のライブストリーミング配信とPC・モバイル双方での視聴環境の構築は2010年初頭には実現していたのであった。
※radikoは2010年から関東・関西圏でスタートしていましたが、管理人的にはエリア外だったため除外して書いております。ご了承ください。

思い出: 地方の深夜アニメ難民にはよかったのかもしれない

※以下のエピソードは、フィクションです。

当時深夜25時台に「けいおん!」をKeyHoleTVで視聴するという夢を見たことがある。 2000年代後半から2010年代初頭には、地方在住のアニメファンにとって放送地域による「壁」は絶望的なものであった。

当時は現在のようにアニメが公式のサービスにてニコニコ動画や各種動画配信サービスで配信されることはほぼなく、
TOKYO MXやテレビ東京系列などで放送されるアニメは、地方では放送されなかったり、数週間遅れであったりといったことがザラであった。
仮に最速で視聴しようとすると各種違法アップロードサイトを駆け回り、スペイン語字幕などがオーバーレイされている動画を視聴しなくてはならなかった。

そんな深夜アニメ難民を救っていたのはKeyHoleTVだったのかもしれない。
画質・音質はワンセグレベルではあるが、在京局の放送をほぼリアルタイムで視聴できた。
また、リアルタイム視聴が可能となり、放送内容の実況もできるようになった。

リアルタイムで全国の誰かと同時にアニメを観て、ネット上で感想を共有できる喜びは、劣悪な画質というデメリットを遥かに凌駕していた。あの小さなウィンドウは、間違いなく地方と都市部の情報格差を埋める架け橋だったのだ。

思い出: 2011年3月11日 東日本大震災でも視聴可能

KeyHoleTVの凄さを本当の意味で思い知らされたのは、東日本大震災の時だった。
管理人は大規模な停電に巻き込まれていたが、当時所持していたWindows Mobileによって、
関東で製油所が火災にあっていることや津波被害の様子など、発災直後より情報を手に入れることができた。

携帯電話回線もはひっ迫していたはずだが、多少視聴開始にてこずることはあっても、
まったく視聴できなかったわけではないと記憶している。

当然ワンセグチューナを持っている人であれば、同じような画面を見ることはできただろうが、
現在までワンセグ搭載機器の普及率は高くない。
また、発災直後に大手プラットフォームで配信が整うまでのタイムラグや、高画質な配信による回線負荷を考えると、
常時低帯域で動いていたKeyHoleTVは、ワンセグチューナーを持たないスマホユーザーにとって即座に使える貴重な選択肢だった。

いつからKeyHoleTVを使わなくなったのだろう

個人的には東日本大震災が放送とインターネットの関係を変えた一つのマイルストーンであると思っている。 震災直後からUstreamなどでサイマル配信がスタートした(公式・非公式含む)。
また、ラジオにおいてもradikoが一時的にエリア制限を撤廃したり、被災地の放送の配信がスタートしたりした。 このころより放送と通信は互いにいがみ合うのでなく、お互いに補完しあうフェーズがスタートしたと思っている。

また、アニメ放送についても同様であり視聴の在り方が変わった時期であると考える。
2010年代初頭まではアニメをネットで視聴する場合には、ほとんどが違法アップロードされた動画を視聴するものであったと記憶している。
公式配信については、ニコニコ動画での地上波放送翌日の配信や、ニコニコ生放送での同時配信などが2010年代より本格的になった。 現在では、放送はなく配信のみで放映される作品も増えてきており、
深夜アニメはもはやネットで見るものという時代になっている(そもそも: "深夜" アニメが死語?)。

2010年代半ばになると、わざわざ法的にグレーで品質の劣るKeyHoleTVを使わなくともradikoやニコニコ動画、各種プラットフォームにて
高品質かつリアルタイム性高く各種コンテンツを視聴できるようになった。

KeyHoleTVは今?

ふと"鍵穴"の存在を思い出しこの記事を書き始めたが、現在もサービスが稼働していることを確認した。だが、今後私がこれを利用することはないだろう。 主な理由は以下の通りだ。

  • プレミアムモジュールキーがなければ継続した視聴がむずかしいこと
  • 法的にグレーな要素が強いこと
  • そもそも娯楽・災害報道のどちらにおいても、地上波を観る必然性が薄れたこと

特に大きいのは3つ目の理由だ。
かつては「地上波の映像をいかにネット経由で観るか」が命題だったが、現在では緊急報道であってもYouTube LiveやAbemaTVなどの配信プラットフォームの方が長時間かつ詳細に追跡してくれる。
各種会見のライブ中継に代表されるように、今や地上波よりも公式YouTube配信の方が情報が早く、濃いことも珍しくない。
例えば新型コロナウイルスが日本国内に蔓延しだしたときに、各自治体が感染者の発見などについて緊急会見を行うことがあったが、
東京都のような大きな自治体でない限りは、地上波にて臨時ニュースを行うことはまれである一方で、
各地方局のYouTubeチャンネルでは会見の様子がフルで中継されていたということもあった。
従前の「放送」と「通信」の関係性は、完全に逆転したのだと感じる。

スポンサーリンク

Back to Blog
Share:

Related Posts